アトピー性皮膚炎の治療選択肢が年々増加しています

アトピー性皮膚炎の治療選択肢の拡大 アトピー性皮膚炎の治療選択肢の拡大

アトピー性皮膚炎の治療選択肢は年々増加しています。
特に2018年以降、続々と新薬が発売され、いままでの治療選択肢では良くならなかった方も治療目標を達成できる可能性が飛躍的に向上しました。

外用療法と全身療法

アトピー性皮膚炎の治療は大きく2種類に分かれ、塗り薬を使って行う治療を「外用療法」、内服薬(飲み薬)や注射、紫外線を使って行う治療を「全身療法」といいます。
アトピー性皮膚炎の治療は、必要な薬を必要な期間、きちんと継続することが必要です。そして、何より治療をしっかり理解して、あなた自身が納得して取り組むことが大切です。あなたの治療はどれですか?

外用療法:塗り薬を使って行う治療

保湿外用薬

保湿外用薬

皮膚を保湿する塗り薬です。
皮膚の水分含有量を改善してバリア機能を回復・維持することで、皮膚炎の予防、かゆみを抑えます。
入浴後は、皮膚が乾燥する前に保湿外用薬を塗りましょう。
症状が改善した部分でもドライスキン状態にある場合があるので、正常に見える場所も含めて保湿を続けることが大切です。

【皮膚の保護を目的とした塗り薬】
・ヘパリン類似物質含有製剤
・尿素製剤
【皮膚の保護を目的とした塗り薬】
・白色ワセリン
・亜鉛華軟膏
・その他

ステロイド外用薬

ステロイド外用薬

炎症を抑える塗り薬で、アトピー性皮膚炎治療の基本となる薬です。
効果の強さによって、ストロンゲスト(Ⅰ群)、ベリーストロング(Ⅱ群)、ストロング(Ⅲ群)、ミディアム(Ⅳ群)、ウィーク(Ⅴ群)の5つに分類されます。また、症状が出ている場所や状態によって剤型が変わります。
治療においては、個々の症状に合わせた強さのステロイド外用薬を「必要な量」を「必要な期間」きちんと塗ることが大切です。

外用免疫抑制剤

外用免疫抑制剤

ステロイド外用薬とは異なるメカニズムで炎症を抑える塗り薬です。
特にステロイド外用薬の副作用があらわれやすい顔や首などの湿疹に使われます。
・タクロリムス
・ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬
・ジファミラスト
・非ステロイド系消炎外用薬(NSAID外用薬)
・PDE4阻害外用薬

など

全身療法:内服薬(飲み薬)、注射、紫外線を使って行う治療

抗体医薬品

抗体医薬品

皮膚の内部で免疫細胞が産生する物質であるサイトカインのひとつであるインターロイキンの働きを抑えることで、皮膚の炎症を抑え、かゆみや皮疹などの症状を改善する注射薬です。

経口免疫抑制剤

経口免疫抑制剤

他の治療で症状が改善しない、成人の重症アトピー性皮膚炎に使用される内服薬です。
・シクロスポリン
・JAK阻害薬

など

経口ステロイド

経口ステロイド

急激に症状が悪化した場合や、非常に症状が重いアトピー性皮膚炎に限って短期間使用する内服薬です。長期間の使用は避けて、医師が必要と判断した時期のみ使用します。

光線療法

光線療法

医療機器を使って紫外線をあて、皮膚の炎症を改善する治療法です。
他の治療で症状が改善しない場合や、副作用で他の治療ができない場合に行います。

*インターロイキン:リンパ球やマクロファージなどの免疫を担当する細胞が作り出す生理活性物質の総称であり、サイトカインの中の1種です。発見された順にインターロイキンの番号をつけられています。細胞に作用して、活性化、増殖、相互作用などに関与します。
公益社団法人日本薬学会:薬学用語解説 インターロイキン https://www.pharm.or.jp/words/word00057.html(2024年3月1日更新)
※内服している間にときどき血液検査が必要になります(内服する薬剤によって異なります)。

プロアクティブ療法とリアクティブ療法

良くなったり悪くなったりを繰り返す湿疹には「プロアクティブ療法」

リアクティブ療法とプロアクティブ療法 リアクティブ療法とプロアクティブ療法
一般社団法人日本アレルギー学会/公益社団法人日本皮膚科学会/アトピー性皮膚炎診療ガイドライン策定委員会
アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024, 日皮会誌 2024;134(11):2741-2843. アレルギー 2024;73(9):1025-1125

炎症を抑える外用薬の使い方には、症状が出たときだけ使う「リアクティブ療法」と、症状がなくなった後も週2回程度継続的に使う「プロアクティブ療法」があります。
アトピー性皮膚炎では、皮膚の表面はきれいに見えても、皮膚の内部に炎症が残っていることもあります。良くなったり悪くなったりを繰り返す湿疹に対してはプロアクティブ療法で、しっかりと治療を続けることが大切です。

塗り薬でコントロールできない中等症以上の患者さんの治療の選択肢が増えています!

治療やスキンケアを行っても、良くなったり悪くなったりを繰り返す患者さんも少なくありません。しかし、医学が進歩して、ここ数年で新しい治療法が使えるようになっています。アトピー性皮膚炎は、塗り薬を使う外用療法と注射や内服薬などを使う全身療法によって治療の目標に向かって前向きに治療に取り組んでいけるようになってきています。
年齢によって使用できる薬剤が異なるため詳しくはお医者さんに相談しましょう。

6つの質問に答えて、アトピー性皮膚炎のコントロール状態をチェック

アトピー性皮膚炎の症状や生活の質(QOL)を把握するためのツール†を使って、あなたが困っていることを簡単に医師に伝えられます。6つの質問に回答して医師に相談してみましょう。
また、治療効果の把握にもお使いいただけます。

※ADCT(Atopic Dermatitis Control Tool:アトピー性皮膚炎のコントロール状態に関する質問票)

アトピー性皮膚炎の治療の目標は「つるつる・もちもち」の肌!

新しい治療の選択肢が増えたことでアトピー性皮膚炎はコントロールできる可能性が高まっています。
治療を諦めかけていた患者さんも、医師に一度相談してみましょう。

アトピー性皮膚炎小冊子

「どれくらい知っていますか?あなたのアトピーについて。」

アトピー性皮膚炎はどんな病気なのか?どういった治療法があるのか?など、治療をしていく上で必要なことをまとめています。

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